傷病手当金

傷病に対し療養の給付等を行ったとしても、傷病による療養のために労務不能となり、収入の喪失又は減少をきたした場合、生活の安定を欠くことになり、労働力の早期回復に支障をきたすことになります。

このため収入の喪失又は減少をある程度補てんし生活保障を行う必要があります。この生活保障の制度が、傷病手当金制度であって、被保険者の請求に基づいて支給されます。

傷病手当金の支給要件

被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者は除く)が1~3の要件をすべて満たしたとき支給されます。

1.療養のためであること
保険適用される療養に限らず、自費で療養をした場合でも、労務不能であると証明されれば支給されます。また、病後の自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、療養の給付とならない疾病等(美容整形等)で労務不能となった場合は支給されません。
2.労務に服することができないこと
本来の業務に堪えうるか否かを標準として、社会通念に基づき保険者が認定します。つまり、家事などができても、勤務する事業所における業務をこなすことができなければ労務不能とされます。また、休業を要する傷病ではないけれど、通院に相当の時間を要して事実上労務に服せない場合も、労務不能とされます。
3.継続した3日の待期を満たしていること
待期は労務不能となった日から起算しますが、就業時間中に労務不能となったときはその日から、就業時間後に労務不能となったときはその翌日から起算します。待期は、労務不能の日が3日継続しなければ完成しません。待期を完成すれば、業務に復帰した後再度同じ傷病で労務不能となった場合、再度待期を完成させる必要はありません。もちろん、休日や祝祭日も待期期間に含まれます。

傷病手当金の支給額

1日につき、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。

標準報酬日額とは?

標準報酬月額を30で除し、その額に5円未満の端数があるときは切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは切り上げて、10円単位の金額にします。

任意継続被保険者が任意継続被保険者になる前から傷病手当金を受けている場合で、任意継続被保険者の資格を取得した際に標準報酬月額が改定されたときは、改定後の標準報酬月額に基づいて算定します。

傷病手当金と報酬との調整

傷病手当金を受給できる要件が揃っていても、報酬の全部または一部を受けることができるときは、傷病手当金を受けることはできません。療養期間中の生活保障という目的からすれば当然です。ただし、報酬の額が傷病手当金の額より低い場合は、その差額が支給されます。

傷病手当金と障害厚生年金または障害手当金との調整

原則として、同一の傷病で障害厚生年金または障害手当金を受けることができるときは、傷病手当金を受けることはできません。

障害厚生年金または障害手当金については、姉妹サイト「損をしない年金の話」の障害厚生年金のページあるいは障害手当金のページをご覧になってください。

障害厚生年金との調整

障害厚生年金の額(同一の支給事由に基づき、国民年金法による障害基礎年金の支給を受けることができるときは、障害厚生年金と障害基礎年金の合算額)を360で除して得た額(1円未満の端数は切り捨て)が傷病手当金の額を下回るとき、その差額が支給されます。

障害手当金との調整

障害手当金の受給日以後、受けるであろう傷病手当金の額の合計が、その障害手当金の額に達する日までは傷病手当金は支給されません。

計算例
障害手当金の額=1,159,200円、傷病手当金=6,000円/日とすると、1,159,200円÷6,000円=193.2となります。193日間は傷病手当金の支給が停止され、194日目は障害手当金の残余1,200円がありますから、差額の4,800円が傷病手当金として支給されます。

傷病手当金と老齢退職年金給付との調整

被保険者資格を喪失した者で、傷病手当金の継続給付を受けるべき者が、老齢または退職を支給事由とする年金給付(国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法に基づく老齢または退職を支給事由とする年金給付をいいます)の支給を受けることができるときは、傷病手当金は支給されません。

ただし、その老齢退職年金給付の額を360で除して得た額(1円未満切り捨て)が傷病手当金の額を下回るときは、差額が支給されます。

傷病手当金と労災保険の休業(補償)給付との調整

労働者災害補償保険法による休業(補償)給付を受けている被保険者が、業務外の自由による傷病によっても労務不能となった場合、休業(補償)給付の額が傷病手当金の額を下回るときは、その差額が支給されます。

傷病手当金と出産手当金との調整

出産手当金を支給する場合、その期間、傷病手当金は支給されません。もしも、出産手当金を支給すべき場合に、傷病手当金が支給されたときは、その傷病手当金は出産手当金の内払いとみなされます。(出産手当金の代わりに支払われたものとみなされます。返還する必要はありません。)

傷病手当金の支給期間

傷病手当金は、支給開始日から1年6ヶ月を限度として支給されます。同一の傷病で、傷病手当金を受給していたが、少し回復したので出勤したものの再び悪化して労務不能となった場合、出勤していた期間も1年6ヶ月に含まれます。ただし、相当期間就業した後、同一病名再発のときは、別の疾病とみなして改めて起算します。

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